【会報】海夫通信50号発行しました

NPO法人霞ヶ浦アカデミーの会報「海夫通信」50号を2025年11月に発行しました。
2008年の設立から発行しており、今回で50号となりました。以下にコンテンツの一部を紹介いたします。詳細はリンクのPDFファイルをご覧ください(画像をクリック!)。

霞ヶ浦北浦 歴史的不漁の謎を解く その4 (濱田篤信)
総合開発事業以前に遡る
前回は、1960年以後の漁獲量変動の原因を解析しましたが、今回は,それ以前に遡ってみます。
霞ヶ浦北浦の漁獲量変動の主たる原因が河川事業に関連していたことは、これまでにも繰り返し述べてきました。1960年以前は、どうだったのでしょう。
内湾から湖沼へ
江戸時代
内湾であった霞ヶ浦北浦が汽水湖への道をたどり始めるのは1594年頃とされています。栗橋~関宿間の14㎞間の台地を開削して造成された「江戸川~利根川」航路の開発です。実際に上流の河川水が現利根川の流路に流下するようになるのは1654年以降で当時の川幅は18m(十間)程度とされています。その後、1809、1871および1915年の3回にわたって拡幅が行われています。この河川事業は「利根川東遷」とよばれ、従来江戸幕府による治水対策事業とされていたようですが、1975年以降になると、これを経済基盤の一環、舟運のための交通網の整備とする説が定着してきます(小出博、日本の河川研究1972、利根川と淀川1975)。
近世における大量の物資輸送は江戸幕府の幕藩体制整備に合わせて本格化しますが、太平洋側の東周り航路は日本海側の西回り航路に遅れて1740年頃からとされています。米にして3600㌧を積載する大型の高瀬船の就航を可能にする航路の出現しです。航路の開発から終焉までの過程は、文献調査だけではなく、高瀬舟の運航を生業とした船頭さんたちからの聞取り調査を行った秀作があり、一読をお進めします(渡邊貢二著「高瀬船、崙書房ふるさと文庫1978」)。洪水と河川事業については、近世初頭から現在に至るまでの歴史的過程が解明されています。利根川の治水と水害については、利根川治水考(根岸1907)、利根川治水論考(吉田1910)、利根川治水史(1943)が
利根川治水の変遷と水害(大熊孝、東京大学出版会1981)で総括され、詳細には学術誌等で報告されています。それらを詳細に検討し独自の調査研究で利根川の治水、洪水および水資源開発の歴史を解明し集大成した名著が、上記の「利根川治水の変遷と水害」です。以下に本著にしたがって利根川下流の河川事業の概略を紹介します。
江戸時代以降、流域の諸藩による河川事業で下流域への堆積が進み、河口付近では新田開発も行われるようになります。一七〇〇年以降には浅間山の2回の噴火で河床や河口部への堆積が進みました。舟運の障害、水田の冠水や洪水を引き起こすようになります。1830年に幕府は、舟運障害を解消するために掘削、水草の刈り取り、定置網等の漁具使用の禁止等の「天保の水行直」と呼ばれる対策を霞ヶ浦四十八津等に命じ実施します(今泉元成ふるさと牛堀第5章2節、2001)。
*続きは本誌でお読みください
著者プロフィール
浜田篤信。東北大学農学部修士課程修了(海洋学専攻)。農学博士。東北大学助手を経て、茨城県水産試験場内水面試験場に勤務。茨城県内水面水産試験場長として活躍後、 (有)霞ヶ浦生態系研究所を設立。霞ヶ浦アカデミー監事。
連載 第3回 野草キッチン 〜冬から美味しくなる野草~(山田証)
日本全国の野草を食べながら旅をする、山菜ソムリエの山田証です。霞ヶ浦アカデミーの皆さんとも、野草やドングリと言った、自然の食べ物に触れ合うイベントをさせていただいています。
ほとんどの食べ物が、流通経路でやってくる現代。食料難、防災意識が高まっているこの時代では特に、身の回りの自然のものの活用が大切だと感じています。
野草は冬がもっとも美味しいのです。秋くらいから、野草はすでに次の春に向けて、冬越しの形(ロゼット)になっています。葉を地面に広げたその形が、バラの花に似ているので、ロゼッタ、もしくはロゼットと言われています。この時期の野草は、春の七草を代表されるように、アクが少なく、お浸しやお粥にしても美味しいものも多く、いろんな料理に使えます。実は山菜全盛期の春よりも、冬の野草の方が食べやすく美味しいのです。もちろん、僕たちの体を冬に変化させる、大切な栄養源でもあります。
今一番お勧めで食べやすいのが、ハルジオン、ヒメジョオンのロゼットです。

その白い花は誰でも見たことがあると思いますが、ロゼットの時の姿を知っている人は少ないのではないでしょうか。ロゼットは株ごと収穫してよく洗います。根っこは切り落として、葉の部分だけを使います。そのまま鍋物、煮物に入れてほろ苦さを味わうのもお勧めですが、実は生でも食べやすいので、僕はオリーブオイルと塩だけでサラダにしていただくこともあります。ついついたくさん食べてしまいそうなくらい美味しいので、食べ過ぎは要注意です。野草を食べ慣れてくると、だんだん体の内側の感覚が敏感になってきます。体に入れた時、体が欲してるものなのか、いらないものなのか、はっきり分かるようになってきます。それまでは、野草はどんなに食べやすくても、たくさん食べることは控えて、ほんの少しずつ、体と相談しながら試すようにして下さい。
著者プロフィール
山田証。大分県在住。シンガーソングライター。森林インストラクター。山菜ソムリエ。

